2016年モデルのESCAPE R3をCYLVA F24と比べてわかった、揺らぐことのない「ESCAPEらしさ」

初代モデルの登場から10年を経た2015年モデルで、待望のフルモデルチェンジを果たしたGIANTの人気クロスバイク「ESCAPE R3」。実はモデルチェンジ以降、レンタサイクルに導入されていたものをちょっとまたがった以外では、新しいESCAPE R3に乗ったことがありませんでした。

ESCAPE R3
ESCAPE R3

そこで今回、2015年モデルからカラーチェンジのみで継続となっている2016年モデルのESCAPE R3をお借りして、半日サイクリングのお供にしてみました。しかも今回は、比較対象となるクロスバイクがあります。BRIDGESTONEのCYLVA F24という、真面目に作られたオーソドックスなクロスバイクです。両者を乗り比べてみて、改めて気づいた「ESCAPEらしさ」がありました。

●やっぱりESCAPEはESCAPEだった

街中にあるジャイアントのオフィスにて、インプレッション用のESCAPE R3をお借りして、市街地と川沿いのサイクリングロードを走りつなぐ、30kmほどのサイクリング。現行モデルのESCAPE R3にちゃんと乗るのは初めてなので、期待半分、「でも、旧モデルと何にも変わらないんじゃないか」という冷めた?気持ち半分で、ペダリングをしてみると——。

ESCAPE R3
ESCAPE R3

「あ、やっぱり軽い!」

2014年モデルまでのESCAPE R3よりも、明らかに軽いのです。2014年モデルと比較して1kg以上軽量化がなされているのだから軽く感じて当たり前といえば当たり前なのですが、世の中にはカタログ重量では軽くても、乗るとモッサリした自転車もありますから、そういう意味ではこのESCAPE R3は「本当に軽い」と言えます。

ESCAPE R3
ESCAPE R3

走り出してすぐに、ESCAPEらしさは微塵も変わらないことに気づきました。ハンドルは近めかつ高めで、上体が起きたポジションで楽に乗ることができます。そして、軽量でコンパクトなフレームは漕ぐ力がスムーズに路面に伝え、700×28Cのタイヤが軽快にアスファルトを蹴っていきます。

漕ぎ出しが軽いから、市街地の細い道を走っているときのストップ・アンド・ゴーもお手の物。一時停止をしても、走り出すたびに軽さを味わえるのは、なかなか気分が良いものです。

ESCAPE R3
ESCAPE R3

そして、川沿いの少し広いサイクリングロードに出れば、快適なクルージングを楽しむことができます。フレームが乗り心地の良さを狙っているせいなのか、ホイールが価格なりのものだからか、もしくはその両方が理由か——巡航速度を上げようとしても頭打ち感があるのは確かですが、20km/h台前半〜中盤で走っている分には実に軽快です。

サイクリングロードが大きな道路と交差してアンダーパスになるようなところでは、登り返しのところも軽々とこなし、支流が流れ込んでいるようなところで道がクランク状になっているようなところでも、キレの良い身のこなしを見せてくれます。

ESCAPE R3
ESCAPE R3

また、変速機などの主要なパーツが、かつてのスラム製からシマノ製に変わっているのもポイント。スラムの変速機も実用上問題はありませんでしたが、今のESCAPE R3に搭載されているシマノ製のパーツの方が、フィーリングは上です。

一方で、少しだけ残念な点もありました。それはブレーキ。相変わらず、テクトロのショートアームVブレーキが採用されているのです。ショートアームにすることで、ブレーキが効きすぎることを防ぐ意味があるのだろうと思います。実際に使ってみて、ちゃんとブレーキは効くので問題はありませんが、操作したとき指に伝わる感触は少しあいまいです。

ESCAPE R3
ESCAPE R3

また、舗装の荒れた路面や、舗装されていない砂利道に出くわした際には、手にショックを感じますし、若干の不安感もあります。これは、700×28Cタイヤを履き、ホイールベースが短くてコンパクトな設計となっている以上は、仕方がありません。

●エッジが立っているのに誰でも扱えるのがESCAPE R3のすごさ

ここでBRIDGESTONE CYLVA F24にも触れておきましょう。CYLVA F24は、アルミフレームにスチールフォーク、そして700×32Cのタイヤを履いた、オーソドックスなクロスバイクです。日本のメーカーによる製品だけあって、真面目さを随所に感じますし、実に扱いやすいクロスバイクです。

CYLVA F24
CYLVA F24

ホイールベースはESCAPE R3より長めで、700×32Cのタイヤと相まって安定志向の走りを実現しています。太めのタイヤは空気量が多いので、舗装が荒れたところや砂利道においても、ESCAPE R3よりは快適です。

CYLVA F24
CYLVA F24

そしてCYLVA F24は、変速のパーツからブレーキに至るまでシマノ製で、いわゆる「フル・シマノ」であることもポイント。ギアチェンジをしながら加速していくときも、ブレーキをかけて減速をするときも、シマノならではの質感を感じることができます。とくに、ブレーキのフィーリングは明らかにCYLVA F24のほうが上です。

CYLVA F24
CYLVA F24

おそらく、以前からあるクロスバイクが持つ「クロスバイクらしさ」にのっとって、ブリヂストンサイクルが真面目にものづくりをした結果が、CYLVA F24という自転車なのでしょう。

そのCYLVA F24と比べると、ESCAPE R3は少しエッジの立ったクロスバイクと言えます。はじめてのスポーツサイクルとして付き合うにはちょっとタイヤが細いとも思えるし、ちょっとヒラヒラするほど軽いし、ブレーキの性能は(ちゃんと効くという前提で)割り切っている感じもするわけです。エッジが立っているゆえ、裏を返すとネガになりかねません。

ところが、またがって漕ぎ出すと、そういったことが消え去ってしまうほど、ESCAPE R3の走りは初めてスポーツサイクルに乗る人に感動を与えます。その感動の前に、細いネガは「そういうキャラクターなんだから、いいじゃない」「ちゃんと機能は果たしているんだし、大した問題ではない」と思えてしまう、不思議な魅力を備えています。そして、気がつけばビギナーでも乗りこなせてしまうとっつきやすさを持っているのです。

ESCAPE R3
ESCAPE R3

もちろん私は「ESCAPE R3のブレーキがもうちょっと良くなればな〜」と思っているわけですが、一方で、細いパーツひとつひとつのグレード比較ではわからない「1台の自転車としてトータルで見たときの演出」の重要さも、新しくなったESCAPE R3から感じます。それが人々のニーズにぴったりとはまったから、ESCAPE R3はこれほどまでの人気モデルになったのではないでしょうか。

●GIANT ESCAPE R3
価格:55,000円(税別)
フレーム:アルミ
フォーク:クロモリ
コンポーネント:シマノ・アルタス
変速段数:3×8
前ギア:48/38/28T
後ろギア:11-32T(8S)
タイヤ:700×28C
重量:10.2kg(465mmサイズ)
製品情報 http://www.giant.co.jp/giant16/bike_datail.php?p_id=00000060

●BRIDGESTONE CYLVA F24
価格:55,800円(税別)
フレーム:アルミ
フォーク:スチール
コンポーネント:シマノ・アルタス
変速段数:3×8
前ギア:48/38/28T
後ろギア:11-32T(8S)
タイヤ:700×32C
重量:12.5kg(480mmサイズ)
製品情報 http://www.bscycle.co.jp/greenlabel/cylva/f24.html?c=0

この記事はESCAPE R3寄りの視点で書いていますが、姉妹サイトのCyclingEXではニュートラルな視点で書いていますので、よろしければそちらもごらんください。

関連記事:クロスバイク定番対決!GIANT ESCAPE R3とBRIDGESTONE CYLVA F24を比較する|CyclingEX



“2016年モデルのESCAPE R3をCYLVA F24と比べてわかった、揺らぐことのない「ESCAPEらしさ」” への 1 件のフィードバック

コメントは受け付けていません。